Nature of AMAMI

奄美群島について

奄美群島は鹿児島の最南部に位置する8つの有人島
(奄美大島、加計呂麻島、与路島、請島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島)のことを指します。
人口は奄美群島全体で約10万人、年平均気温約21℃、年間降水量2,800mmと温暖・湿潤な気候です。
亜熱帯照葉樹林、干潟、鍾乳洞、マングローブ、サンゴ礁など多様な自然環境を有しており、
2017年には全国34番目の国立公園として指定されました。

奄美大島の人と自然

奄美大島は急峻な山と入り組んだ海岸線の地形が特徴的な島です。先人たちは海と山のわずかな土地に集落を作り、自然の恩恵を受けると同時に厳しさにも晒されながら生活してきました。山にはハブの脅威があったため集落同士の往来はさかんではなく、集落それぞれで固有の文化・風習・言語が醸成されてきました。奄美で「シマ」といえば、伝統的には島ではなく集落のことを指します。文字どおり、ひとつの集落がひとつの島のような世界だったのです。奄美に暮らす人々は季節風や渡り鳥の飛来などから自然の移ろいを読み取りながら暮らしを営んできました。奄美の祖先は、アカショウビンの鳴き声から梅雨入りを感じ取り、島の言葉でミーニシと呼ばれる北東の季節風から秋の訪れを、サシバの鳴き声から冬の訪れを知ったのです。奄美の自然の中から得た知恵や教えは、唄や踊り、祭りの形になり、代々人々の心と記憶に受け継がれて生活に溶け込んできました。

山を背に、海を眼前に臨む集落での暮らしの中では、海のはるか彼方に「ネリヤカナヤ」という理想郷があり、そこから神々が訪れて祝福を授けてくれると信じられていました。姉妹が兄弟を守るウナリ神信仰、豊穣と安寧を願って行われるノロの神祭り、奄美の信仰は海と山の間で育まれてきました。また、奄美は黒潮の流れの中に位置することから、交通や交易の中継地として古くから人やモノがこの島々で出会い交わり、独特で豊かな文化を形成しました。

世界自然遺産の島

奄美大島と徳之島は、沖縄島北部及び西表島と共に2021年7月に世界自然遺産に登録されました。日本では5件目、鹿児島県では屋久島に次いで2件目の登録です。奄美大島には世界的にも希少な固有種や絶滅危惧種を含む動植物が数多く生息・生育しています。その生物多様性が認められ、また保全上重要な地域であることから世界自然遺産に登録されました。
黒潮と亜熱帯高気圧の影響をうけ、温暖、湿潤な亜熱帯性気候を呈し、亜熱帯照葉樹の森を形成しています。この環境が多くの生きもの命を育み、マングローブ林・雲霧林に渓流帯、サンゴ礁など多様な自然環境も生物多様性保全の重要な役割となっています。

そして、動植物種の多さは特異な島の成り立ちも深く関係しています。約1200万年前、現在の琉球列島はかつてユーラシア大陸と陸続きでしたが、約200万年前以降、大規模な地殻変動や気候変動による海面変化で島々の分離・結合が繰り返され現在の島の形になりました。その過程で大陸では絶滅した種が生き残ったアマミノクロウサギ、ケナガネズミ、ルリカケスなどの遺存固有種、島の分離後に独自の進化を遂げたアマミトゲネズミ、アマミハナサキガエルなどの新固有種が今も生きています。
この多くの奄美の豊かな自然環境を将来にわたり、守り残していかなければなりません。