活動報告
お知らせ
2025.11.29

「龍郷町子ども博物学士講座」を開催しました

2025年11月29日土曜日、令和7年度の「龍郷町子ども博物学士講座」を開催しました。

「龍郷町子ども博物学士講座」は、龍郷町の環境教育の一環として「環境から学ぶ」「環境について学ぶ」「環境のために学ぶ」という指針のもと毎年子どもたち向けに開催されている講座です。

今年は、ご縁により、私たち、一般社団法人NEDIが主催させていただくことになりました。

「秋名集落に残る自然の生き物観察を通して、奄美の自然と結びついた文化を学ぶ」というテーマで、奄美稲作保存会の皆様、「荒場のやどり」を運営する村上裕紀様とともに、「奄美自然環境研究会」に所属する生き物の専門家の皆様、龍郷町学芸員の向田秀明様に協力いただき開催させていただきました。


当日は、子どもたちのお父さん、お母さんも含めて多くの方に参加いただきました。NEDIの代表の碇山から開催のご挨拶をさせていただきました。

講師の方と集落を散策する前に、秋名集落のコミュニティセンターで事前学習をしました。

まずは、学芸員の向田秀明先生から集落の成り立ちと歴史から学びました。

秋名集落は、奄美の集落がどういうふうに成り立っているのかを知るのにとても良い地域とのこと。地形を見ると、集落の両脇と後ろに山があり、山から川が下り、川の水を利用して田んぼと畑が広がり、その周りに人家が建てられて集落が形成されていったという歴史があるそうです。考えてみると、奄美の他の集落も山に囲まれて裾野の平地に集落が広がっていて同じような地形をしているところが沢山があります。集落の中で、古くから人が住んでいる地域を「里」と呼ぶことがあります。奄美の他の集落にも「里」という地名が残っていることがあります。秋名は、「里」のほかに新しく人家が建てられていった地域があり「かねく」と呼ばれています。「かねく」という地名は、海の砂という意味で海に近い砂丘に当たる場所を指す言葉ですが、「金久」「兼久」といった漢字を当てて、奄美の様々な地域にその名前が残されています。

改めて、学芸員の向田先生に説明をしていただくと、秋名の実際の地形を思い浮かべながらその成り立ちを考えることができ、子どもたちだけでなく、大人にとってもとても勉強になりました。

秋名集落は、北向きの海側が湾になっていて水深も深かったため、歴史的に船の出入りも多く、人も多く栄えていた集落だったようです。奄美は山が多いため、昔は、陸路で集落と集落を行き来することが難しく、海上交通が主でした。

秋名集落には歴史的な遺産も多く残されていて、秋名川の上流には刀鍛冶の作業場の跡地が残されています。無形文化遺産に登録されている「ショチョガマ」「平瀬マンカイ」といったお祭りも、今では、秋名・幾里集落にのみ残されている伝統行事です。アラセツ、旧暦の8月に、稲刈りが終わった時期に、神様に豊作のお礼をして翌年も豊作であるようにお祈りをします。「ショチョガマ」「平瀬マンカイ」も、秋名・幾里集落の田んぼと結びついた行事であり、この地域が山に囲まれ、山からの川の流れと共に豊かな自然に抱かれていたことで受け継がれてきました。

次に、秋名の自然の中に棲む生き物の勉強です。釣谷洋輔先生から解説をしていただきました。

秋名・幾里集落の「里」に生息する「生物多様性」というテーマで、どんな生き物が生息しているのか教えていただきました。「里」は人が住み始めて集落が形成された始まりの場所、川があり、田んぼと畑があり、その周りに人が暮らしながらも自然に囲まれた場所です。

釣谷先生からは、「生物多様性」とは、たくさんの生き物が限られた場所で見られることであるというお話をしていただき、どんな生き物がいるのか、具体的に教えていただきました。

秋名・幾里は、貴重な生き物が、人が古くから暮らしている場所で見られるという点でとても貴重な場所なんですね。

講師の先生方から事前知識を教えていただいたら、いよいよ秋名の集落で生き物の観察会です。

子どもたちと田んぼに繰り出して、田んぼの水の中を網ですくって生き物を探します。

見つけた生き物を、一つ一つ確認して、講師の先生からどんな生き物なのか教えてもらいます。

同じエビでも、講師の先生が確認すると、「ヌマエビ」と「スジエビ」で違っていたり、ほかにも、ウナギ、ヤゴ、ハゼの仲間、カニなどたくさんの生き物を確認することができました。

双眼鏡を持って、野鳥の観察もしました。普段だったら見つけられない鳥も、鳥に詳しい講師の先生に教えてもらいながら双眼鏡を覗くと、たくさん確認することができました。

改めて、この秋名・幾里集落が、人が暮らしている地域でありながら、同時にたくさんの自然と生き物であふれる豊かな場所なのだということを、私たち大人も感じる機会になりました。

最後に、コミュニティセンターに戻って、一日のおさらいと学んだ内容の確認をしました。

好天に恵まれ、たくさんの生き物を観察することができました。秋名・幾里集落がとても自然が豊かな場所で、奄美大島には身近にこんなに豊かな自然が人の営みと共に残されているということを知ってもらう機会になったのではないでしょうか。

今回の「龍郷町子ども博物学士講座」は、奄美稲作保存会の皆様、村上裕紀様、そして、教育委員会の皆様、「奄美自然環境研究会」に所属する生き物の専門家の皆様、龍郷町学芸員の向田秀明様など、たくさんの皆様の協力によって実現することができました。

これからも、龍郷町役場の皆様と協力をして、様々な形で、子どもたちに奄美の自然の豊かさを伝えていくお手伝いができればと思っております。今回、参加していただいた皆さま、本当にありがとうございました。